こんにちは!理事長先生
学校法人聖公会盛岡こひつじ学園理事長赤坂徹先生のページです!
                    ≪2024年2月・3月 合併号へ≫      ≪2024年4月・5月 号外へ≫               

理事長だより 学校法人聖公会盛岡こひつじ学園仁王幼稚園 
2024年(令和6年)4月・5月合併号    

           

4月になって仁王幼稚園で進級されたお子様、新たに入園されたお子様と保護者の皆様、大変おめでとうございます。私は小児科医で理事長を務めております。5月にはお子さんの小児科健診を園医である吉田小児科の吉田研一先生が担当されます。

お子さんの心身の健康問題について隔月に「理事長だより」としてホームページに掲載しております。重要なものは反復して解説しておりますことをご了承ください。

新型コロナウイルス感染症、インフルエンザなどの呼吸器感染症は3密を防いで消毒や換気など、私達ができることで備えましょう。


1.自律神経の役割

心臓、肺臓、胃腸などは自分の意識によらず自動的に自律神経(交感神経、副交感神経)

のバランスで動いています。物を取りたいと思って手を動かすような神経と筋肉の動きとは異なります。春に思春期の子どもに多く認められる自律神経失調症、起立性調節障害は幼児には認められませんが、春先や新学期の忙しい時期に発症することが多いようです。

 起立性調節障害には立ちくらみ、めまい、悪心、頭痛、意識障害、朝起きられないなどの一連の症状が認められます。単なる血圧維持機構の機能不全だけではなく、自律神経系や内分泌系の複雑な機能異常が考えられ、心身医学的視点が必要となります。安静横臥位から立ち上がった時の収縮期血圧の低下、脈圧(収縮期と拡張期の血圧差)の狭小、脈拍の増加が診断に役立ちます。規則正しい生活(早寝・早起き・朝ご飯)が基本ですが、効果が不十分な場合には薬物治療を併用します。かかりつけの小児科医にご相談下さい。


2.新しい環境に慣れること


1)規則正しい生活 

新入園や進級したお子さんは新しい環境に慣れずに疲れてくるのがこの時期です。のんびり家庭で過ごしていたのが、朝起きて朝食を食べて登園の準備をするという生活の枠組みが造られてきます。朝起きられるように十分な睡眠時間を確保しましょう。規則正しい生活をすることは自律神経のバランスと生活リズムを作るために重要です。家庭での生活に幼稚園のスケジュールが加わってこれに慣れるまで時間がかかります。焦らず温かく見守っていただきたいと思います。


2)家庭での役割分担

お子さんにあった簡単な家事を担当させ、よくできたとほめましょう。家族の中で自分が役に立っていることが判れば自信につながります。


3)満足することを知る

欲しいものがすぐに手に入ると我慢(がまん)ができなくなります。お子さんにふさわしい物であれば、お誕生日のように期限を約束して購入するようにします。お子さんを取り巻く両親や祖父母と共通した対応が望まれます。


4)入学までに予防接種を受けたかどうかを母子手帳で確認して、受けておきましょう。


5)虫歯の治療は完了していますか。軽いうちに歯科医で治して、歯磨きも良い習慣です。近視・遠視などの視力障害があれば眼科医を受診しておきましょう。


3.子どもの事故は5月に多発する

 日本スポーツ振興センターは幼稚園や保育園での事故が5月に増えると報告しました。新しい環境に慣れ、暖かくなって活発になったことが原因と考えられているようです。けがの部位として頭と顔で8割、腕が2割を占め、場所としてすべり台が最も多く、複数の遊具が組み合わされた総合遊具、アスレチックがこれに次いで多いようです。家庭や近所の遊園地でも危険な場所があるかもしれません。外で遊ぶなということではありません。安全に遊べる環境作りと、お子さんが危険を回避できる身体の訓練が必要と思われます。運動嫌いのお子さんに事故が多いことも確かなようです。


4.2024年(令和6年)から始まる5歳児健診と子育て支援について

令和6年から5歳児健診への公的補助が始まりました。小学校入学に備えて発達のバランスが悪く日常生活で困難さが気になるようになります。この状態を発達障害(発達障がい)、最近では神経発達症と呼んでいます。2022年の文部科学省による調査で、公立小中学校の通常学級に注意欠陥多動症などの発達障がいのある児童生徒が8.8%在籍していると報告されました。その対応策について考えてみましょう。


1)子育てをしている時に気になることはありませんか。

[参照:岩手県いわてこども発達支援サポートブック〜こどもの成長によりそった子育て〜]

@コミュニケーションや表現がうまくできない。A外出先や公園などで忙しく走り回る。B大人などの身振りのまねをしない。C大人が相手になっても喜ばない。D自分の好きなものがあると、他への切り替えができない。E“ごっこ”遊びができない。F身の回りのこと(着脱、排泄、片付けなど)がなかなか身につかない。G特定の物に執着する。H物音、振動、光などに敏感(感覚過敏)で必要以上に怖がる。


2)発達障がいが心配になったら一人で悩まないで、幼稚園や専門機関に相談しましょう。子どもの気持ちに寄り添って対応します。⇒は対応例です。

@特定のものに興味が強い場合⇒子どもの安心感を尊重しながら、ゆっくりと関心をひろげよう。

Aいつもと違うことに戸惑う場合⇒予定の変更は事前に繰り返し伝えておこう。

B活動の切り替えに苦手な場合⇒活動を分かりやすく、絵を使って伝えよう。

C生活の習慣づけが苦手な場合⇒声かけでは記憶に残らないので、習慣づけしたい事柄を絵に書いてカードにして渡す。できたらたくさん()めよう。

D落ち着いていることができない場合⇒静かで落ち着ける環境に移動する。落ち着いて出来るようになったら褒め、出来なくても(とが)めない。少しずつ成功体験を増やそう。

E好きなものの前ではルールを忘れてしまう場合⇒根気よくルールを身につけさせよう。守れたら褒めよう。

 

 

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